“重さ”ではなく“速さ”を見る理由|VBTがパフォーマンス向上につながる仕組み
トレーニングというと、 多くの人はまず 「何kgを挙げたか」 を重視します。 もちろん重さは大事です。 ですが実際の現場では、 同じ重量でも その日の状態によって、 動きの質はかなり変わります。
そこで注目されているのが、 “重さ”だけでなく“速さ”も見る という考え方です。 VBT(Velocity Based Training)は、 バーベルや器具をどれくらいの速度で動かせたかを見ながら、 負荷・本数・止めどきなどを判断していきます。
この記事では、 なぜ“重さ”ではなく“速さ”を見るのか、 そしてそれがなぜ パフォーマンス向上につながるのか を、 難しい理論をできるだけ省きながら、 現場目線でわかりやすく整理します。
この記事のポイント
- 同じ重量でも、 その日の状態で動く速さは変わる
- 速さを見ると、 出力・疲労・調子の違いを把握しやすい
- VBTは「軽くして速く動かす」だけではなく、 目的に合った質を管理する方法
- パフォーマンス向上には、 “何kgか”だけでなく “どう動けたか” が重要
まず結論:“重さ”だけでは、その日の本当の状態は見えにくい
先に結論を言うと、 重さだけを見ていても、 選手がその日どれだけ良く動けているかは分かりにくい です。
たとえば同じ80kgのスクワットでも、 ある日は軽く速く立てる日もあれば、 ある日は妙に重く、 動きが鈍い日もあります。 重量は同じでも、 身体の中で起きていることは同じではありません。
つまり、 パフォーマンスを上げるうえで大事なのは、 「何kgを持ったか」 だけでなく、 「その重量をどんな質で動かせたか」 です。 その“質”を見やすくするのが、 速度という視点です。
なぜ“速さ”を見ると状態が分かりやすいのか
人の身体は、 毎日まったく同じではありません。 睡眠、 疲労、 練習量、 試合、 メンタル、 栄養状態などの影響で、 力の出しやすさは日々変わります。
この違いは、 重量だけでは見えにくい一方で、 動作速度には表れやすい ことがあります。 同じ重量なのに遅い日は、 疲労が強いのかもしれません。 逆に速い日は、 状態が良い可能性があります。
だからVBTでは、 “速さ” を見ることで、 その日の出力の出やすさや疲労の影響を把握しやすくする のです。
速さを見ると分かりやすくなること
- 今日はいつもより動けているか
- 同じ重量でも重く見えているか
- 疲労で後半に落ちすぎていないか
- 出力の高い動きが出ているか
- やりすぎる前に切るべきか
“重さ”だけを追うと起きやすい問題
重さだけを基準にすると、 メニューは組みやすい反面、 実際の状態差が見えにくくなります。 予定された重量をこなせたとしても、 それが良い質でできたのか、 無理をしていたのかは分からないことがあります。
たとえば、 本来は出力を高く出したい日に、 疲れていて動きが遅いまま回数だけこなしてしまうと、 目的からズレることがあります。 逆に、 状態が良い日に同じ重量・同じ回数だけで終えると、 伸ばせる余地を使い切れないこともあります。
つまり、 重量だけでは 「やったかどうか」 は分かっても、 「意味のある質でできたか」 までは見えにくいのです。
重さだけ管理で起きやすいこと
- 疲れていても予定を優先しやすい
状態に合わない負荷でも進めてしまう - 出力の質が落ちていても気づきにくい
回数だけ達成して満足してしまう - 止めどきが見えにくい
必要以上に続けてしまう可能性がある
“速さ”を見ると、なぜパフォーマンス向上につながるのか
パフォーマンス向上に必要なのは、 ただ頑張ることではありません。 狙った能力に合う質でトレーニングすること が重要です。
たとえば、 パワーや爆発的な出力を高めたいのに、 毎回動きが遅く、 疲労で潰れた状態までやってしまうと、 狙いからズレやすくなります。 逆に、 速さを見ながら質を保てれば、 「今必要な刺激」 に近づけやすくなります。
VBTは、 そうしたズレを減らし、 その日の状態に合う形で、 より目的に近いトレーニングをしやすくする ことで、 結果的にパフォーマンス向上につながりやすくなります。
速さを見ることで得られる実践的なメリット
- その日の調子に合わせて負荷を調整しやすい
- 狙った能力に合う動きの質を保ちやすい
- 疲労で質が落ちたら止めやすい
- 感覚だけでなく数字でも確認できる
- 長期的に質の高い積み上げをしやすい
VBTは「軽くして速く動かす」だけではない
ここはよく誤解されるポイントです。 “速さを見る” と聞くと、 軽い重量をとにかく速く動かすことだと思われがちですが、 それだけではありません。
実際には、 重い重量なら速度は遅くなり、 軽い重量なら速度は速くなります。 大事なのは、 その重量に対して、 どんな速度が出ているか を見ることです。
つまりVBTは、 “軽いものを速く動かす遊び” ではなく、 重量と速度の関係を使って、 トレーニングの質を判断する方法 です。
誤解しやすい点
- VBT=軽い重量専用、ではない
- 速ければ何でも良い、という話でもない
- 大切なのは目的に合う質で動けているか
- 速度は「判断材料」であり、 命令そのものではない
野球や競技現場で“速さ”を見る価値
野球や競技スポーツでは、 単に筋力が高いだけでなく、 その力をどれだけ速く発揮できるか が重要です。 打つ、 投げる、 走る、 切り返すなど、 多くの場面で “速さを伴った力発揮” が求められます。
だからこそ、 ウェイトトレーニングでも重さだけを見るより、 どのくらいの速さで動けているか を見ることに意味があります。 これは競技力とのつながりを意識しやすくするからです。
特に野球では、 シーズン中や連戦中など状態差が大きいので、 速さを見ることは 出力維持とやりすぎ防止を両立しやすくするヒント になります。
初心者は何から理解すればいいのか
VBTには、 速度帯、 速度ロス、 平均速度、 1RM推定などいろいろな言葉があります。 ですが、 最初から全部を理解しなくても大丈夫です。
まず理解したいのは、 同じ重量でも日によって速さは変わる、 その違いには意味がある、 速さを見るとトレーニング判断がしやすくなる、 という3点です。
最初はこれだけ分かればOK
- 重さが同じでも、 動きの質は毎回同じではない
- 速さの違いは、 状態差や疲労のヒントになる
- 速さを見ると、 やりすぎやズレを減らしやすい
- VBTは、 その日のトレーニング判断を少し賢くする考え方
まとめ:“重さ”だけでなく“速さ”を見ると、トレーニングが現実に合いやすくなる
トレーニングでは、 重さはもちろん大事です。 ですが、 それだけでは その日の状態差、 出力の質、 疲労の影響 までは見えにくいことがあります。
そこで “速さ” を見ることで、 同じ重量でも今日どう動けているかを把握しやすくなり、 負荷調整、 やりすぎ防止、 出力の質の維持がしやすくなります。
つまりVBTがパフォーマンス向上につながるのは、 速さという視点を使って、 トレーニングをその日の現実に合わせやすくするから です。 本質は難しくありません。 “何kgか” だけでなく、 “どう動けたか” まで見る。 そこに大きな価値があります。
VBTは、“重さ”では見えにくい「今日の動きの質」を“速さ”で見やすくする方法
重さだけでは分からない状態差や出力の質を、 速度という数字で確認しやすくするのがVBTです。
だからこそ、 パフォーマンス向上には “何kgか” だけでなく “どう動けたか” を見ることが重要になります。
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