バー以外(バット / ケーブル等)でVBTする方法

VBT(Velocity Based Training)というと、 バーベル種目で使うもの、 というイメージを持たれやすいです。
しかし実際には、 VBTは バー以外の動きでも活用できます。 たとえば、 バットスイング、 ケーブルマシン、 ダンベル、 メディシンボールに近い動作など、 「速度を見たい動き」があるなら、 現場での応用余地は十分あります。
この記事では、 バー以外(バット / ケーブル等)でVBTする方法 をテーマに、 どう考えれば良いのか、 どこに注意すべきか、 そして現場でどう活かすかを 実践的に整理していきます。
この記事のポイント
- VBTはバー専用の考え方ではなく、速度を扱う動作全般に応用しやすい
- バットやケーブルでも、条件を揃えれば比較材料として十分使える
- 大切なのは「絶対値」よりも、同一条件での再現性と変化を見ること
- 種目ごとに装着・固定・代表値のルールを決めることが運用のカギになる
そもそもVBTはバー以外でも使えるのか?
結論から言えば、 使えます。
VBTの本質は、 バーを測ることではなく、 動作の速度変化を見てトレーニングを調整すること にあります。
そのため、 対象がバーベルでなくても、 速度を一定の条件で測れて、 前回比較や当日比較がしやすいなら、 現場で十分活用可能です。
つまり、 発想としては 「バーでしか使えない」ではなく、「速度管理したい動作に応用する」 と考えるほうが実践的です。
バー以外でVBTする時の基本的な考え方
バー種目は、 比較的シンプルで直線的な動きが多く、 VBTとの相性が良いです。 一方で、 バットやケーブルは、 動きが少し複雑になります。
だからこそ重要なのは、 完璧な研究室レベルの測定を目指すことではなく、 現場で比較可能な形を作ること です。
基本の考え方
- 毎回同じ種目条件で測る
- 装着位置や固定方法を揃える
- 同じ重さ・同じ設定で比較する
- その日のベストや平均など、代表値を固定する
- 絶対値よりも、前回比較・当日比較・変化傾向を見る
つまり、 バー以外でVBTする場合は、 「正確無比な一発の数字」より、「同条件で見続けられる数字」 を作ることが重要です。
方法1:バットでVBTする
バットでVBTを行う考え方は、 野球の現場ではかなり相性が良いです。 なぜなら、 現場が見たいのは 「どれだけ重いか」だけでなく、 どれだけ速く振れているか だからです。
たとえば、 通常のバット、 やや重いバット、 短尺バット、 負荷付きバットなどで、 スイング速度の変化を見ることで、 単なる感覚論ではなく、 負荷と速度の関係を見やすくなります。
バットで見る時のポイント
- 同じバット条件で比較する
- 装着位置を毎回揃える
- ティー、素振り、実打前など測定シーンを固定する
- 最大値だけでなく、数本の平均を見る
- フォームが崩れた高速化を良しとしない
バットでのVBTは、 「振れているか」「重さに対して速度が落ちすぎていないか」「その日の切れがあるか」 を見やすいのが強みです。
バットVBTで注意したいこと
ただし、 バットはバー以上に 動作の自由度が高いため、 条件がズレると比較しにくくなります。
たとえば、 力み、 スイング軌道、 スタート姿勢、 実打か素振りか、 疲労度などで、 数値は普通に変わります。
バット運用の注意点
- 実打と素振りを同列比較しない
- 装着位置・向きが毎回違わないようにする
- 重さ違いのバットを混ぜて解釈しない
- 単発の最高値だけで判断しすぎない
- 速度だけ上がって動作が崩れていないか確認する
バットでVBTを活かすコツは、 測る日を増やすことより、測る条件を揃えること にあります。
方法2:ケーブルでVBTする
ケーブルマシンでも、 VBTの考え方は十分使えます。
特に、 回旋動作、 引く動作、 押す動作、 片側動作などは、 競技動作とのつながりを持たせやすく、 現場ではかなり実用的です。
たとえば、 野球であれば回旋系のプル動作、 打撃・送球に近い方向性を持つケーブル動作、 競技別の連動性を意識したトレーニングに対して、 速度の指標を加えることができます。
ケーブルで見る時のポイント
- 負荷設定を固定する
- ハンドルやアタッチメントを固定する
- 立ち位置・距離・姿勢を揃える
- 左右差を比較する場合は同条件で測る
- 回数を追う中で速度低下を見るのも有効
ケーブル種目では、 競技動作に近い方向で「どの負荷なら速く動けるか」を見やすい のが大きなメリットです。
ケーブルVBTで起こりやすいズレ
一方で、 ケーブルは マシンごとの差、 滑車の特性、 初動の取り方、 引き切る位置の違いなどで、 体感も数値も変わりやすいです。
そのため、 種目名だけ同じでも、 実際の条件がズレていれば、 比較の意味は薄くなります。
ケーブルで揃えたい条件
- 同じマシンを使う
- プーリー位置を固定する
- 同じスタンス・同じ開始位置にする
- 可動域を揃える
- 反動を使った回と使っていない回を混ぜない
つまりケーブルVBTでは、 「同じ重さ」だけでは足りず、 同じ環境・同じ動作設計まで揃えること が重要になります。
方法3:ダンベルや片手動作にも応用できる
バー以外という意味では、 ダンベルや片手種目でも、 VBTの考え方は応用可能です。
特に、 左右差を見たい時、 片側の出力傾向を見たい時、 バーだと実施しにくい動作を管理したい時には、 バー以外の種目のほうが現場に合うこともあります。
ダンベル・片手動作での活用例
- 片手プレスや片手ロウの速度比較
- 左右差の確認
- 補助種目の出力管理
- 競技特性に近い片側出力の把握
こうした運用は、 「バー中心の管理だけでは拾えない情報」を補う という意味でも価値があります。
バー以外でVBTする時に一番大事なこと
一番大事なのは、 速度を測ること自体ではなく、 比較できる運用ルールを作ること です。
バー以外の種目は自由度が高いぶん、 毎回の条件がズレやすいです。 だからこそ、 事前にルールを決めておく必要があります。
先に決めておきたい運用ルール
- どの種目を測るか
- どの負荷設定で測るか
- どの位置に装着するか
- 何本・何回の平均で見るか
- ベスト値か平均値かをどう扱うか
- フォーム確認をどう合わせて行うか
これが決まっていないと、 せっかく数字を取っても、 あとで比較しにくくなります。
絶対値より「変化」と「傾向」を見る
バー以外のVBTでは特に、 数字の絶対値だけにこだわりすぎないほうが実務的です。
重要なのは、 前回よりどうか、 左右差はどうか、 負荷を上げるとどう変わるか、 疲れてくるとどこまで落ちるか、 といった 変化の見方 です。
見るべき観点
- 前回比で上がったか下がったか
- 左右差が大きすぎないか
- 負荷を変えた時に速度がどう変わるか
- セット後半で速度が落ちすぎていないか
- フォーム変化と速度変化が一致しているか
この見方をすると、 バー以外のVBTも、 単なるおもしろ測定ではなく、 トレーニング判断の材料 に変わっていきます。
どんな現場に向いているか
バー以外でのVBT活用は、 特に 競技動作へのつながりを重視する現場 と相性が良いです。
たとえば、 野球、 ソフトボール、 テニス、 ゴルフ、 格闘技、 回旋系スポーツなどでは、 バーだけでは拾いきれない動作スピードの情報があります。
また、 チーム現場だけでなく、 パーソナル指導や競技特化ジムでも、 「何となく振れている」ではなく 速度という指標で会話できる ことは大きな価値になります。
まとめ:VBTはバーだけのものではない
VBTは、 バーベル種目で使いやすいのは事実ですが、 本質的には 速度を見ながらトレーニング判断を行う考え方 です。
そのため、 バット、 ケーブル、 ダンベル、 片手動作などでも、 条件を揃えて運用すれば十分活用できます。
大切なのは、 絶対値だけを追いかけることではなく、 同じ条件で見続けられる仕組みを作ること です。
つまり、 バー以外(バット / ケーブル等)でVBTする方法とは、「測る対象を広げること」ではなく、「競技に近い動作を、比較可能な形で速度管理すること」 だと言えます。
VBTは、バーだけで終わらせないほうが現場で活きる
バット、ケーブル、片手動作。 競技に近い動きを速度で見られると、指導の解像度は一段上がります。
大切なのは、測る対象よりも、比較できる運用設計です。バー以外のVBTは、その幅を広げる有効な方法です。
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