ベンチ・スクワット以外:現場で使える補助種目VBT

VBT(Velocity Based Training)というと、 ベンチプレスやスクワットのような メイン種目で使うもの というイメージを持たれやすいですが、 実際の現場では 補助種目でどう使うか も非常に重要です。

特に競技現場では、 ベンチやスクワットだけで全てを解決することは難しく、 股関節主導、 片脚支持、 体幹連動、 引く動作、 回旋への橋渡しなど、 補助種目だからこそ拾える要素 が多くあります。

この記事では、 ベンチ・スクワット以外でVBTをどう使うか を整理しながら、 現場で使いやすい補助種目の考え方 を、実践的な目線で解説します。

この記事のポイント

  • VBTはベンチ・スクワットだけでなく、補助種目でも十分活用できる
  • 補助種目では「高精度な数値」より「質の管理と再現性の確認」として使うのが実践的
  • ヒンジ系・片脚系・引く動作・ジャンプ系・回旋補助系は、現場で相性が良い
  • 大切なのは、補助種目を増やすことではなく、目的に合う種目だけをVBTで意味ある管理にすること

なぜ補助種目でもVBTが重要なのか

現場では、 ベンチプレスやスクワットの数値だけを見ていても、 選手の課題を拾いきれないことがあります。

たとえば、 スクワットは強いのに片脚支持が弱い、 ベンチは悪くないのに引く力が不足している、 下半身出力はあるのに回旋へのつながりが弱い、 ということは珍しくありません。

そうした時に重要になるのが補助種目です。 そしてVBTを組み合わせると、 その補助種目が「ただやっているだけ」なのか、「狙った質でできているのか」 を見やすくなります。

補助種目VBTの考え方は、メイン種目と少し違う

ここは重要です。 補助種目でVBTを使う時は、 ベンチプレスやスクワットと同じ感覚で 「厳密な速度帯管理」をしようとすると、 現場ではやや扱いにくくなることがあります。

なぜなら補助種目は、 種目の形が多様で、 可動域も違い、 安定性の要求も高く、 そもそも “数値の絶対値”よりも“動作の質”が重要 なことが多いからです。

そのため補助種目VBTでは、 数値を主役にするというより、「質の管理」「左右差の発見」「やりすぎ防止」「再現性確認」の補助線として使う のが実践的です。

補助種目VBTで見たいもの

補助種目でVBTを使う時は、 何を見たいのかを最初に整理したほうが運用しやすくなります。

補助種目VBTで見たいこと

  • その種目で狙った動作速度が出ているか
  • Repごとの再現性が揃っているか
  • 左右差や苦手側の崩れが出ていないか
  • 後半で速度低下やフォーム崩れが大きすぎないか
  • メイン種目の補強として、狙い通りの役割を果たしているか

つまり補助種目VBTでは、 「何kgで何m/sだったか」だけでなく、「その補助種目が意味ある質でできていたか」 を見ることが大切です。

現場で使いやすい補助種目① ヒンジ系

ベンチ・スクワット以外で、 現場で非常に使いやすいのが ヒンジ系 です。 代表的には、 RDL(ルーマニアンデッドリフト)、 トラップバー・デッドリフト、 軽〜中負荷のヒップヒンジ系などが考えやすいです。

これらは、 臀部・ハムストリングスを中心とした後鎖の出力、 股関節主導の力発揮、 前もも優位の修正などに役立ちます。

ヒンジ系で見たいこと

  • 股関節主導でスムーズに出力できているか
  • 前ももで無理に引き上げていないか
  • 後半で速度低下が急すぎないか
  • 毎Repで可動域とテンポが揃っているか

ヒンジ系は、 打撃・投球・走力の土台づくりとも相性が良く、 補助種目VBTの中でもかなり実用性が高い領域 です。

現場で使いやすい補助種目② 片脚系

次に使いやすいのが 片脚系種目 です。 ブルガリアンスクワット、 スプリットスクワット、 ステップアップなどは、 支持脚の安定性、 左右差の確認、 実動作への橋渡しに向いています。

特にスポーツ現場では、 両脚での強さがそのまま片脚動作につながるとは限りません。 そのため片脚系をVBTで見ると、 苦手側だけ極端に落ちる後半で片側だけ崩れる といったことが見えやすくなります。

片脚系で見たいこと

  • 左右差が大きすぎないか
  • 支持脚側でフォームが崩れていないか
  • 苦手側だけ速度低下が急になっていないか
  • 実動作に近い支持・踏み込み感が出ているか

片脚系は、 絶対値の数値よりも、 左右差と再現性を見る補助種目VBT として使うと非常に価値が出やすいです。

現場で使いやすい補助種目③ 引く動作

ベンチ系ばかりに偏る現場では、 引く動作 の補助種目VBTも有効です。 たとえば、 ベントオーバーロウ、 胸サポートロウ、 ケーブルロウ系などは、 背部出力や肩甲帯のコントロールを見るうえで使いやすいです。

もちろん、 これらはベンチやスクワットほど 厳密な速度管理をするというより、 重すぎて引きちぎるような動きになっていないか反動だらけになっていないか を見るほうが実践的です。

引く動作で見たいこと

  • 毎Repで軌道が揃っているか
  • 反動に頼りすぎていないか
  • 重すぎて肩や腰が逃げていないか
  • 背部で引く意図が最後まで保てているか

引く動作は、 姿勢保持・肩まわり・投球や打撃の上半身安定 にも関係しやすいため、 補助種目として取り入れる価値があります。

現場で使いやすい補助種目④ ジャンプ系

ジャンプ系も、 ベンチ・スクワット以外で非常に使いやすい補助種目です。 ジャンプスクワット、 カウンタームーブメントジャンプ、 軽負荷ジャンプ系などは、 出力の鋭さやその日の状態を見やすいです。

特にジャンプ系は、 メイン種目の疲労が強すぎると露骨に質が落ちることも多く、 コンディション確認パワー補助刺激 としても使いやすいです。

ジャンプ系で見たいこと

  • 最初のRepから鋭く跳べているか
  • 後半で切れが落ちすぎていないか
  • 接地や切り返しが鈍くなっていないか
  • 疲労による質低下が見えやすくなっていないか

ジャンプ系は、 軽負荷でも“意味あるスピード刺激”にしやすい ため、 補助種目VBTと非常に相性が良いです。

現場で使いやすい補助種目⑤ 回旋・連動補助系

スポーツ現場では、 メディシンボール投げや、 回旋を伴う補助種目も使いやすいです。 特に打撃・投球系の現場では、 下半身から体幹回旋への橋渡し を作る意味があります。

これらは、 ベンチやスクワットのような数値管理よりも、 鋭さ・方向性・連動のタイミング を見るほうが現場では価値が出やすいです。

回旋・連動補助系で見たいこと

  • 下半身から回旋へ力がつながっているか
  • 腕だけで投げたり回したりしていないか
  • 毎Repの鋭さとテンポが揃っているか
  • 疲労でタイミングがバラついていないか

回旋補助系は、 補助種目VBTの中でも 競技動作への接続感を高めやすい領域 といえます。

補助種目VBTを現場で使う時の基本ルール

補助種目でVBTを使う時は、 メイン種目以上に 目的を絞る ことが重要です。 何でも測ろうとすると、 現場ではすぐに複雑になります。

基本ルール

  1. 全部の補助種目で細かく管理しようとしない
  2. その補助種目で何を見たいのかを明確にする
  3. 絶対値よりも、再現性・左右差・落ち方を見る
  4. メイン種目の邪魔になるほど疲労を残さない
  5. 数値だけでなくフォーム観察を必ずセットにする

補助種目VBTは、 細かい管理で縛る道具というより、現場で狙いをブレさせないための補助線 として使うとうまくいきやすいです。

よくある失敗

補助種目VBTでよくあるのは、 測れるからといって 全種目をメイン種目のように扱ってしまうことです。

しかし実際には、 補助種目は 役割が限定的だからこそ価値がある のであり、 全てを厳密に管理しようとすると、 運用が重くなりすぎます。

また、 数値ばかり見て、 軌道の崩れ、 左右差、 テンポの乱れを見逃すのも危険です。

つまり補助種目VBTでは、 「測れること」より「その種目の役割をちゃんと果たせているか」 を優先して見る必要があります。

まとめ:補助種目VBTは、メイン種目を支える“意味ある管理”にすると強い

ベンチプレスやスクワット以外でも、 VBTは十分活用できます。 むしろ現場では、 ヒンジ系、 片脚系、 引く動作、 ジャンプ系、 回旋補助系など、 補助種目だからこそ見える課題が多くあります。

ただし、 メイン種目と同じように数値だけで縛るのではなく、 質の管理、左右差の確認、再現性、やりすぎ防止 として使うのが実践的です。

つまり、 ベンチ・スクワット以外:現場で使える補助種目VBTとは、「全部を測ること」ではなく、「必要な補助種目だけを意味ある管理に変えること」 です。 その視点を持つと、VBTは現場でかなり使いやすくなります。

補助種目VBTは、「測るために増やす」のではなく「役割を明確にする」と強い

ヒンジ系、片脚系、引く動作、ジャンプ系、回旋補助系。 こうした補助種目をVBTで見れば、メイン種目だけでは拾いにくい課題や質の低下を整理しやすくなります。

大切なのは、全部を細かく管理することではなく、その補助種目が本来の役割を果たしているかを見ることです。

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